No.018 経営学教育とワークショップの導入

 1昨年頃から始めているワークショップを取り入れた小集団活動の教育効果について報告します。現在担当している経営学A(商学科1年生)と経営管理論Ⅰ(経営学科2年生配当)を事例に、授業改革の教育効果と課題について説明し、経営学教育の在り方を考えていきます。

(1)経営学Aの授業改革 
 最初に、5月15日に行なわれたワークショップの授業を紹介します。商学科1年生配当の経営学Aでは、経営学検定資格の初級のテキスト(経営学の基本、中央経済社)を使用して、経営学の基礎的な知識と理論を学んでいます。その際に、経営や経済に関する身近な事例や新聞記事を題材に、10のグループに分かれて、リーダーを選出し共通の課題について議論し意見を集約して発表しています。 

 当日の発表課題は次の4つの設問から各チームが1問選択します。
各設問に対する資料は予め教員が準備し配布しておきます。

<設問>
(1)ワタミは宅食弁当で高齢者層のニーズに応えて事業を成功させたが、今後の高齢者や独居老人に対するサービスとして、相応しいサービスや商品を提案しなさい。また、その商品の市場可能性について説明しなさい。
(2)コンビニのPB商品戦略はヒットしているが、その成功の主な原因は何か、また、今後開発すべきと思われるPB商品を提案しなさい。
(3)早寝早起き生活から求められ今後成長が見込まれる新規の商品を提案しなさい。 
(4)スタバの経営実績の好調の原因は何か、近大キャンパスや駅前商店街にスタバを誘致できるようにするにはどのような環境整備が必要か。

<授業の流れ>
各チームで設問を選択(10分)☞WS作成と討論時間(約30分)☞チームごとのWSの回収と発表準備時間(約15分)☞チームの発表時間1〜2分(全体で10〜20分程度)☞先生のコメント☞リーダーが全員のWSを提出して授業終了です。

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経営学教育とワークショップの導入各チームのリーダーを中心に活発に意見交換している様子。小集団に分かれて議論すると仲間意識や新たなコミュニケーションが生まれる。授業時間に話し合う、発言するという要素が加わると、学生のモティベーションは高まる。

 下の写真は、10チームの発表風景の一部です。各チームの意見調整やコンセンサスを得るプロセス、チームのリーダーによる発表の準備などで忙しいので、時間は瞬く間に過ぎていきます。新しい提案などは大学生の得意な分野で、熱心な議論を踏まえた政策提案には鋭いアプローチと工夫の跡が伺われる事例もありました。

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 水曜日の1限に開講されていますが、学生参加型授業を取り入れるようになって、徐々にですが、遅刻や欠席は少なくなっているように思われます。何よりも経営学を楽しんで学ぶことができれば、所期の目標は達せられるので、現在のところ、ワークショップへの自己評価はまずまずです。しかし、課題もあります。チームによっては、議論が一部の人間に任されていたり、テキストやレジュメの理論や仮説に沿った論理的な話し合いが不十分になる傾向もあり、改善すべき課題も山積しています。 

(2)経営管理論Ⅰの授業改革
 経営管理論Ⅰ(経営学科2年次配当)では、経営戦略の具体的な事例やアメリカの経営者の実績を学生が評価して発表する授業を組み込んで実践しています。経営学検定資格中級の「マネジメント」(中央経済社)のテキストを使用しています。1年次の経営学Aや経営学Bの授業で経営学の基礎知識をすでに勉強しているとはいえ、経営の素材を身近に考えさせる、書物で学んだ知識を生かして問題解決能力を修得するように指導しています。具体的な事例を対象に、学んだ知識をフルに利用して新しい提案や課題を発見しようとするものです。そうすることで、テキストの内容を深められ、経営学に対する興味関心を高める効果が期待できます。

経営学教育とワークショップの導入 まず、授業の開始時に、全員にワークシートが手渡され、本日の研究課題が提示され内容の説明を受けます。その際、課題に関わる資料がプリント教材として用意されています。受講生は予め6チームに分けられリーダーを決めています。一定時間内に集団的な議論を行なって、チームの意見を集約します。
 最後に、各チームで自分たちの代表的な意見を集約しリーダーが発表します。チームリーダーの手腕が発揮されるところです。

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 上段の板書をしている姿は、アメリカ企業の著名な経営者(ウェルチ)の組織改革の有効性と限界について、上半分、下半分に板書しているところです。書き終えた時点で板書の内容をリーダーが学生にわかりやすくマイクを使って説明します。慣れてくると、メリハリのあるトークができるようになります。 

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 上は、チームに分かれて意見交換している様子です。固定式の机なので、完全に対面式の会話はできませんが、教員の話を聞くだけの一方通行の授業にはないある種の活気と自由な雰囲気が生まれます。20〜30分の討論時間しかないので、別の意味での緊張感が生まれます。あっという間に時間切れとなり発表になります。
 下の写真は各チームのリーダーの発表風景。各チームの期待を背に発表するので、リーダーは重責です。よく見ると6チームとも男性なので、リーダーを変えずに今後は女性を含めた発表スタイルに変えるべきだと思いました。熱心に発表している姿勢と緊張感が画面から伝わってきます。毎回、このような学生参加型の授業を行う余裕はありませんが、各セメスターで3〜4回実施すると、学生の主体的意識の醸成につながります。経営学検定試験への受験生も昨年より増えており相乗的な教育効果が認められます。(文責経営学A、経営管理論Ⅰ担当 足立)

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2013年06月10日 12:00